発達障害児の幼児期に取り組みたい親子の関わりや接し方について解説します。その5

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まわりの大人が子どもをよく理解しよう!

 

子どもたちは現代社会に暮らしており,障害あるなしに関わらず,この社会の中で生活していくためのスキルを身につけなくてはいけません。これは社会の中でより適切に,かつ楽しく生活していくのには必要なことです。

発達障害を持っているとまわりの子と同じように物事をこなすことができなかったり,対人面で円滑なコミュニケーションを取れないこともあるでしょう。それは能力的に困難な場合もありますし,どうすればいいのかという適切な方法を知らないという場合もあります。そうするとまわりが丁寧にやり方を教えれば少しずつできるようになることもあるわけです。だからこそ,何も言わなくても察して動くことはできないが,ひとつずつ教えればできる子どもたちがいることを大人が知る必要があります。

表面に出ている特性だけを取り上げて,「空気が読めない子」「できない子」「問題行動がある子」とレッテルを貼ってしまうと,失敗したときだけ教えたり怒ってみたりするだけで,うまくやっていく工夫を考えたり,できることを伸ばすという視点に立つことが難しくなります。悪いところだけ取り上げて,指導することが行き過ぎれば虐待になってしまうリスクすらあります。

何もしなくても自然と学んでいくことが難しいからこそ,丁寧に教えて,できることをこつこつ増やしていく必要があると考えていきたいですね。

 

一緒に楽しむことでやる気が出てくる

 

基本的な生活習慣を身につけたり,言葉の使い方,コミュニケーションを学んでいくことは,元来は生活の中で行われます。うまくいったときにはプラスの声かけがあることで,そうした行動が増えていくでしょうし,まわりの人の振る舞いを見てまねることで覚えていくことも多いです。

 

そこに相手がいることが発達において大きな意味を持ちます。上手に相手をしてくれる,合いの手を入れてくれる,褒めてくれる相手がいることで子どもたち自身がもっとそれをやりたいという気持ちになっていくのです。

 

大人と一緒に課題に取り組むと楽しい,できることが増えて嬉しいという体験ができるようにまわりが動いていくことが大切です。発達障害を持った子どもは人との関わりを積極的に持たないような特性があったりします。子どもたちの世界を大切にしつつ,大人の側から関わりをつくっていくことが必要でしょう。一緒にできて「楽しいね」と気持ちを伝えたり,共有したりすることも大事です。ちょっとした行動ができるようになったときも「上手にできたね」「うまくいったね」とプラスの言葉をかけましょう。そんなのあたりまえ,まわりは普通にできているというマイナス思考では長期戦を戦っていくことは難しいですよ。ひとつひとつ成功体験を積み上げていくことが重要です。

   

社会のルールの中でできることを増やしていく

 

学校や社会は集団での生活がベースです。やれることが増え,大人と一緒に活動することに慣れてきたら,社会のルールや枠組みの中でそれを実践できるようにしていくことも大事です。

 

みんなと同じように動ける,一緒にできるということが自尊心を高めますし,より楽しい生活を送ることにも繋がっていきます。ペアレントトレーニングからソーシャルスキルトレーニングへと取り組みをシフトしていくのが理想です。

 

生活習慣を楽しみながら身につけていく

 

できることを増やしていこうとするとついつい教育的になりがちですし,次はあれをやってみようと急いてしまうことがおこりがちです。子どものペースに沿いながら,いま何に興味を持っているか,どんなことができそうなのかを見ていきましょう。先に進みすぎても着いて来れませんし,できそうなことでも興味がないのに強制をすることでやる気をくじいてしまうかもしれません。

特に大人と子どもの上下関係に基づき,厳しく,激しい指導を行ってしまうとそれは心の傷として残ってしまう可能性があることに留意が必要です。大きな怒鳴り声,怒った顔などへの異常な過敏さを持って成長してしまうケースをよく見ます。

また学びの過程では得意/苦手がはっきりと出てくるでしょう。誰しもが苦手なことがあるように凸凹があること自体は個性として捉えていきましょう。苦手なことは他の人にやってもらう,文明の利器に頼る,代替案を使うなど,大人でも上手にやり繰りをしていると思います。

 

次項から具体的に身に着けてほしいことについて解説していきます。

 

前項はこちらです。

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