WISC™-IV知能検査の結果の見方、その特徴と解釈について、受験者や家族向けに説明します。ウィスクフォー

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WISC™-IVの構成

WISC-IVの適応範囲、実施時間

WISC-IV(ウィスク・フォー)は、日本文化科学社から販売されているウェクスラー式の知能検査児童版です。原板出版社はPeason社です。日本では2010年に販売されています。

WISC-IVの対象年齢は5歳から16歳11カ月となっています。成人版のWAIS-IVの対象年齢が16歳から90歳11ヶ月となっていますので、16歳から16歳11ヶ月の対象者はどちらの検査でも実施が可能です。児童精神科などではWISC-IVが優先して実施されている印象がありますね。

実施の時間は基本検査のみで60分前後、補助検査を含めると90分前後に収まることが多いです。児童が対象ですので集中力の問題もあり、適度なところで区切りをつけたり、実施する補助検査を吟味したりする場合もあるでしょう。

 

群指数の内容

WISC-IVは4つの群とそれぞれの下位検査から構成されています。下位検査は、IQ算出に必要となる基本検査とそれ以外の補助検査に分かれています。

 

言語理解(VCI)の基本検査は類似単語理解、補助が知識語の推理

知覚推理(PRI)の基本検査は積木模様絵の概念行列推理、補助が絵の完成

ワーキングメモリー(WMI) の基本検査は数唱語音整列、補助が算数

処理速度(PSI)の基本検査は符号記号探し、補助が絵の抹消

 

  

下位検査の内容

言語理解
類似:2つの言葉がどのように類似しているか
単語:絵や言葉の意味を答える
理解:日常的な問題の解決やルールなどの理解について
知識:一般的な知識に関する質問をする
語の推理:ヒントから共通の概念を特定する

知覚推理
積木模様:モデルとなる模様と同じものを作る
絵の概念:複数の絵から共通の特徴の絵を選ぶ
行列推理:空欄の図版を見せ、選択肢から当てはまるものを選ぶ
絵の完成:冊子を見せ、欠けている重要な部分を答える

ワーキングメモリー
数唱:読み上げられた数字を決まった順で答える
語音整列:読み上げられた数字とかなを決まった順で答える
算数:算数の問題を口頭で提示し、答えさせる

処理速度
符号:数字と対になっている記号を書き写す
記号探し:記号グループを見て同じ記号があるかを答える
絵の抹消:制限時間内に絵を見て、特定の物に線を引く

プロセス得点

基本検査や補助検査の情報から、以下の7つのプロセス得点を算出し、さらに詳しい分析をすることができます。

積木模様:時間割増なし
数唱:順唱
数唱:逆唱
順唱:最長スパン
逆唱:最長スパン
絵の抹消:不規則配置
絵の抹消:規則配置

WISC-IVの全検査IQ/群指数/下位検査の一般的な解釈

基本的な分析の方法

全体的な情報から特定の情報の順に整理をしていく。

1.全検査IQを報告、記述する
2.4つの指標得点を報告、記述する
3.指標レベルでのディスクレパンシー比較をする
4.強みと弱みを評価する
5:下位検査レベルでディスクレパンシー比較をする
6:下位検査内の得点パターンを評価する
7:プロセス分析を実施する
8:(必要に応じてGAIの算出など)

より下位の項目でまれな差が見られた場合には、算出された数値をそのまま解釈するのは適切ではない場合がある。

 

知能指数(IQ)の値、知的障害の範疇

IQの値は非常に高い~非常に低いまで以下のように分類されます。

IQ得点の正規分布では、約2.2%の人がIQ69以下となります(平均点より2SD低い値を取る)。この範疇のIQは更に分類がなされています。

IQ=50~69軽度の知的障害IQ=35~49中等度の知的障害IQ=20~34重度の知的障害IQ=20未満最重度の知的障害と分類します。療育手帳などの判定は、これらの数値を参考にすることが多いとでしょう。これらの範疇に関しては、WISC-IVではIQの数値を出すことができないため、多くは田中ビネー知能検査Vが実施されています。

 

群指数の解釈

群指数も数値はIQと同じように算出され、評価の仕方も同じです。

4つの分野は概ね以下のように解釈されます。

 

言語理解 :言葉を中心とした理解力、知識など。

知覚推理: 視覚を中心とした状況の把握、理解の力など。

ワーキングメモリー:聴覚を中心とした記憶や注意力、集中力など。

処理速度:作業の正確さやスピード、処理能力など。

 

 

WISC-IVの特徴

ウェクスラー検査の変遷、知能指数とは?

ウェクスラー検査の第3世代からの変遷や知能指数の基本的な考え方に関しては、WAIS™-IV知能検査の結果の見方、その特徴と解釈についての項目で触れています。ご一読ください。

WISC-IVに関する書籍

まず一冊買うとしたら、日本版WISC-IVによる発達障害のアセスメント ‐代表的な指標パターンの解釈と事例紹介‐が圧倒的におすすめです。代表的なパターンとその解釈方法、事例などがこなれた日本語で解説されています。受験者の方にも比較的読みやすいとは思いますが専門書になりますのでちょっと出費ですね。

一歩進んだ解釈をするときには、エッセンシャルズ WISC-IVによる心理アセスメントがおすすめです。というか、WISC-IVを実施するのであればこの3冊は必須と言える出費です。必ず揃えましょう。

 

*本稿はWISC-IVを有益に活用するための一般的な情報提供に過ぎません、個別の解釈については検査担当者や主治医の判断が含まれます。また専門的な利用に関しましては、付属のマニュアル等を熟知の上での実施をおすすめします。

本稿を作成のための参考資料

https://www.nichibun.co.jp/kensa/detail/wisc4.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/52/0/52_238/_pdf
http://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/G0000006y2j2/file/26868/20170418180736/B040043000006.pdf
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/73665/1/070-1882-1707-13.pdf
「日本語版WISC-IV知能検査 実施・採点マニュアル」日本文化科学社

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