高崎吉徳先生から受けた影響 EMDRとTFTへの道

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私が心理臨床に片足を突っ込み始めた頃にインターネットをする人は一部の変人とも言える人たちでした。電話回線でネットに繋ぐのです。繋ぎっぱなしだとお金がかかってしまうので、23時からの定額制のテレホーダイの時間に必要なところにアクセスして、そのログを見るという使い方をしていました。

 

その頃は割と実名制でネット上で普通に名前を出して、話をする人も多かったように思います。

 

心理学界隈に関しては、私の知る限りで一番活発だったのはNIFTY-Serve心理学フォーラムでした。アドラー心理学の野田俊作先生、ユング派のさかざきさん(だったと思う)、高崎吉徳先生の絡みを見て、心理学の奥の深さと面白さを学んだものです。

ちなみに当時のログはすべて印刷してあり、これは私だけの宝物になっています。あのログを持っている人、どれくらいいるんだろうか? お金を払っても手に入れることのできない、熱いログでした。

 

車椅子のセラピスト高崎先生の言葉はウイットに富んでいて、重苦しい内容も飛んでいくようなそんな連想を受けるものでした。

 

つぼをとんとんして治療するTFT(Thought Field Therapy:思考場療法)を日本に広めたのは、この高崎先生です。精神科治療学に私が影響を受けた論文が載っています。高崎吉徳(1998) 「EMDRとTFT ; PTSDの新しい治療」 精神科治療学 13(7), 833-838,

 

EMDRもTFTもすぐにワークを受講に行きました。こんな治療があるのかとびっくりし、ああ現場では使えないなと落胆したのを覚えています。EMDRのLevel2トレーニングでは私が個人的に影響を受けた一人である鎌田譲先生も参加されていたのを嬉しく思っていました。自分のやり方は間違っていないと思いましたね。TFTは実践で使うことはほとんどありませんでしたが、EMDRは私の最終兵器のひとつです。縁あってEMDR研究にも寄稿させて頂いています。

  

NHKでドラマ化された「心の傷を癒すということ」の安克昌先生は外傷性PTSDの治療で高崎先生と論文を書かれていますね。安克昌・高崎吉徳 (2000). 外傷性精神障害の外来精神療法. 精神療法, 2(6 4), 360―366.

 

さて、あれこれ語ってしまいましたが、私が知っている高崎先生は文字の中だけなのです。お会いする機会もなく、鬼籍に入られました。高崎先生、野田先生や鎌田先生たちのような高みには、なかなかたどり着くことができませんが、もがきながら精神科臨床を続けています。

 

先生が書かれた論文は他には高崎吉徳(1999)「恐怖症・PTSD・パニック障害など不安障害の短期療法」『医療におけるブリーフセラピー』,金剛出版があります。この本も絶版でしょうか。残念ですが逆に中古で安く購入できますね。

 

ブリーフセラピーが最近、医学関係者に有効な治療法として注目され、実際に医療現場で活用されてきている。さまざまな医療の中でブリーフセラピーがどのような効果をもたらしているのかを分析する。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療法として注目されている、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)のテキスト。技法の発見から始まり、原理・手順・手続きを細部にわたり説明。チェックリストや評価用紙を付す。

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