セルフコンパッションとアドラー心理学、EMDRの共通点

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EMDRにおける資源の植え付け


EMDRセラピーでは「資源の植え付け」として、現在のより成長した自分が過去のまだ弱く、助けのない状態にいる自分にどんな声をかけてあげるでしょうか? という言葉がけをすることがあります。他人をいたわることができても、同じように自分をいたわることはできないことが多かったりするのです。いまの自分が過去の自分を癒やしたり、なぐさめたり、元気づけるような展開になることが多いこのプロセスが私は好きです。

誰も手を差し伸べてくれないかもしれない、ひとりぼっちで耐えないといけないかもしれない、でも自分だけは自分の味方でいることができる。自分で自分を励ますことができる。あなたにはそういう力があるはずだと信じて、それが引き出せるタイミングでこうした言葉かけを普段のカウンセリングでもすることがあります。

だって、これまで頑張ってきたじゃん、辛いのに耐えてきたじゃん、そういう自分を褒めてあげようよ。受け入れていこうよ。他の人に優しくできるように、自分にも優しく接してみようよ。

 

マインドフルネスからセルフコンパッションへ


これに似た概念を最近よく耳にするようになりました。セルフコンパッション(self-compassion)という考え方です。

 

ざっくり簡単に言うと、自分で弱さのある自分を応援するような気持ちのことと言えます。定義としては自分に対する「慈しみ」「思いやり」「優しさ」などの感情であり、自分の弱い部分や短所を受け入れ、ありのままの自分を受け入れることと考えられています。

 


Neff,K.(2011) Self-Compassion: The Proven Power of Being Kind to Yourselfによるとセルフコンパッションは3つの要素に分けることができるようです。

ひとつめは「自分への優しさ(Self-kindness)」です。

先ほどのEMDRの例が近いと思います。自分に対して慈しみ、優しさの気持ちを持つことです。

 

ふたつめは「共通の人間性(Common humanity)です。

あなたは独りではないし、あなたと同じようにまわりの人も喜んだり、苦しんだり、失敗したりしているんだということでしょう。

 

最後はマインドフルネス(Mindfulness)です。

これは検索をすればいくらでも説明は出てくるでしょう。いまこの瞬間の体験に気づくこと、良い悪いの判断なく、ただそれを受け入れることで、否定的な感情や事象に囚われずに生活をしていくことと言えるでしょうか。

 

Rabon,J.K., Hirsch,J.K.らの米国退役軍人に対する研究によると*、セルフコンパッションが気分障害や心的外傷後ストレス障害の症状に関連しており、セルフコンパッションが高い人ほど自殺リスクが低いということがわかっています。

*Rabon,J.K., Hirsch,J.K.et al. (2019) Self-Compassion and Suicide Risk in Veterans: When the Going Gets Tough, Do the Tough Benefit More from Self-Compassion?,Mindfulness,10, pp2544–2554.

 

アドラー心理学の考え方

 
ただし、これは別に新しい概念ではありません。アドラー心理学派のドライカースの言葉でHave a college to be imperfect. (直訳すると不完全である勇気を持て!)というものがあります**。直訳だと逆ギレのようなニュアンスを受けてしまうかもしれませんが、意訳をすれば、凸凹があったり、弱いところがあったり、ダメなところがある自分でもいいじゃん。そんな自分だって愛おしいんだよということになります。

私がアドラー心理学を勉強していたのは20年近く前になりますので、どの先生から教えてもらった言葉は失念してしまいました(たぶん野田先生の非公式な文章でしょう)。院生だった私はこの言葉が大好きでわざわざ印刷して、コラージュボックスの一部として使っていました。その写真は撮ったはずだけれど、見つけることができず。若気の至りを見せずにすんでよかったのかも。

一時のアドラー心理学ブームでは、ほんとうのアドラー心理学の良さが伝わってないんじゃないかなと危ぶんでいます。ブームの本は読んでないからわからないんだけれども、共同体感覚(Gemeinschaft Gefühl)の考え方などはきちんと伝わっているのだろうか(セルフコンパッションのCommon humanityの考えはやはり近いですね)。臨床心理学の分野でも思想のない技術だけの折衷主義などは進んでいないのだろうか。

まだ頭の中で整理しきれていないので、もう少し噛み砕くことができたら記事に追加していきたいと思います。

**Terner, J., & Pew, W. L. (1978). The courage to be imperfect: The life and work of Rudolf

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