令和2年度診療報酬改定(2020)の概要  精神医療(除く公認心理師関連)

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地域移行・地域生活支援を含む質の高い精神医療の評価

 

今回の改定のポイントは「地域移行・地域生活支援を含む質の高い精神医療の評価 」です。 具体的には以下の項目が挙げられています。公認心理師関連はすでに抜粋しましたので、それ以外をまとめておきます。

  • 質の高い入院医療の評価
  • 地域移行・地域定着に資する継続的・包括的な支援に対する評価
  • 精神病棟における地域移行の推進
  • 適切な精神科在宅医療の推進
  • 精神疾患を有するハイリスク妊産婦に対する支援の充実
  • 個別疾患に対する治療・支援の充実 (依存症、発達障害)

 

 

地域移行・地域定着に資する継続的・包括的な支援のイメージ

 

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、「精神病棟における退院時の多職種・多機関による共同指導」及び「精神科外来における多職種による相談指導」について、評価を新設。

 

④ 精神科外来における多職種による相談支援・指導への評価

第1 基本的な考え方 地域で生活する精神疾患患者の支援を推進するために、精神科外来に おける多職種による相談・支援等について新たな評価を行う。

第2 具体的な内容 精神病棟に入院中に精神科退院時共同指導料1を算定した患者に対し て、精神科外来において多職種による支援及び指導等を行った場合につ いて、通院精神療法に加算を設ける。

【通院・在宅精神療法】
[算定要件]
注8 1を算定する患者であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における直近の入院において、区分番号B015に掲げる精神科退院時共同指導料1を算定した患者に対して、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師又は精神保健福祉士が、療養生活環境を整備するための支援及び指導を行った場合に、療養生活環境整備指導加算として、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り250点を所定点数に加算する。

(21)「注8」に規定する療養生活環境整備指導加算は、通院・在宅精神療法の「1」を算定する患者について、精神病棟における直近の入院において、精神科退院時共同指導料を算定した患者であって退院した日の属する月の翌月末日までに当該保険医療機関を受診した患者又はその家族等に対して、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師(以下、この区分において「看護師等」という。)又は精神保健福祉士が、療養生活環境を整備するための支援及び指導を行った場合に月1回に限り算定できる。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。

ア 当該患者の支援方針等について、多職種が共同して、3月に1回の頻度でカンファレンスを実施する。なお、カンファレンスについては、当該患者の診療を担当する精神科又は心療内科の医師、看護師等及び精神保健福祉士並びに必要に応じて薬剤師、作業療法士、公認心理師、在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)若しくは作業療法士又は市町村若しくは都道府県の担当者等の多職種が参加すること。

イ アのカンファレンスにおいて、患者の状態を把握した上で、多職種が共同して支援計画を作成し、その写しを診療録に添付すること。なお、支援計画の作成に当たっては、平成28~30年度厚生労働行政推進調査事業において「精神障害者の地域生活支援を推進する政策研究」の研究班が作成した、「包括的支援マネジメント実践ガイド」を参考にすること。

ウ 医師は、診療録に当該患者の療養生活環境整備支援及び指導を担当する看護師等又は精神保健福祉士への指示事項を記載すること。

エ 当該患者を担当する看護師等又は精神保健福祉士は、イにおいて作成した支援計画の内容を患者等に説明した上で、療養生活環境の整備のための支援及び指導を行うこと。なお、担当する患者ごとに療養生活環境整備支援・指導記録を作成し、当該療養指導記録に指導の要点、指導実施時間を明記すること。

[施設基準]
(1) 通院・在宅精神療法の注8に規定する施設基準療養生活環境整備のための支援及び指導を適切に行うにつき十分な体制を有していること。
(1) 通院・在宅精神療法の注8に規定する施設基準
ア 当該保険医療機関内に、当該支援・指導に専任の精神保健福祉士が1名以上勤務していること。
イ 保健師、看護師又は精神保健福祉士が同時に担当する療養生活環境整備支援及び指導の対象患者の数は1人につき30人以下であること。また、それぞれの保健師、看護師又は精神保健福祉士が担当する患者の一覧を作成していること。
(2) 当該加算の届出においては、様式●を用いること。

精神科在宅患者に対する適切な支援の評価

 

 

③ 精神科在宅患者に対する適切な支援の評価
第1 基本的な考え方
精神医療における在宅医療を適切に推進する観点から、精神科在宅患者支援管理料について、その本来の趣旨等を踏まえ要件を見直す。

第2 具体的な内容
1.精神科在宅患者支援管理料1及び2について、対象患者の要件等を見直すとともに、引き続き訪問診療を行う場合の評価を新設する。
2.関係機関の職員等と共同して実施するカンファレンスの開催頻度等の要件を見直す。また、初回のカンファレンスは対面で行い、2回目以降についてはビデオ通話によるカンファレンスも可能とする。

精神科在宅患者支援管理料】
[算定要件]
1 精神科在宅患者支援管理料1
イ 別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
3,000点
(2) 単一建物診療患者2人以上
2,250点
ロ 別に厚生労働大臣が定める患者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,500点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,875点
ハ イ及びロ以外の患者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,030点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,248点
2 精神科在宅患者支援管理料2
イ 別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合

 

精神科在宅患者に対する適切な支援の評価

 

③ 精神科在宅患者に対する適切な支援の評価
第1 基本的な考え方
精神医療における在宅医療を適切に推進する観点から、精神科在宅患者支援管理料について、その本来の趣旨等を踏まえ要件を見直す。

第2 具体的な内容
1.精神科在宅患者支援管理料1及び2について、対象患者の要件等を見直すとともに、引き続き訪問診療を行う場合の評価を新設する。
2.関係機関の職員等と共同して実施するカンファレンスの開催頻度等の要件を見直す。また、初回のカンファレンスは対面で行い、2回目以降についてはビデオ通話によるカンファレンスも可能とする。

精神科在宅患者支援管理料】
[算定要件]
1 精神科在宅患者支援管理料1
イ 別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
3,000点
(2) 単一建物診療患者2人以上
2,250点
ロ 別に厚生労働大臣が定める患者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,500点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,875点
ハ イ及びロ以外の患者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,030点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,248点
2 精神科在宅患者支援管理料2
イ 別に厚生労働大臣が定める患者のうち、集中的な支援を必要とする者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,467点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,850点
ロ 別に厚生労働大臣が定める患
者の場合
(1) 単一建物診療患者1人
2,056点
(2) 単一建物診療患者2人以上
1,542点
3 精神科在宅患者支援管理料3
イ 単一建物診療患者1人
2,030点
ロ 単一建物診療患者2人以上
1,248点

 

 

地域移行機能強化病棟の継続と要件の見直し

 

  

④ 地域移行機能強化病棟の継続と要件の見直し
第1 基本的な考え方
精神病棟の長期入院患者の地域移行を推進するため、地域移行機能強化病棟入院料について、当該入院料に係る実績等を踏まえ、届出期間の延長と要件の見直しを行う。

第2 具体的な内容
1.地域移行機能強化病棟入院料について、当該入院料の算定に当たって要件となっている許可病床数に係る平均入院患者数の割合を見直すとともに、長期入院患者の退院実績に係る要件を見直す。

 

【地域移行機能強化病棟】
[施設基準]
(14)届出時点で、次のいずれの要件も満たしていること。
ア 届出前月に、以下の(イ)又は(ロ)いずれか小さい値を(ハ)で除して算出される数値
が0.85以上であること。なお、届出に先立ち精神病床の許可病床数を減少させることにより0.85以上としても差し支えないこと。
(イ)届出前月の当該保険医療機関全体の精神病棟における平均入院患者数
(ロ)届出前1年間の当該保険医療機関全体の精神病棟における平均入院患者数
(ハ)届出前月末日時点での精神病床に係る許可病床数
イ 以下の式で算出される数値が2.4%以上であること。なお、自宅等への退院とは、患家、介護老人保健施設又は精神障害者施設へ移行することをいう。ここでいう「患家」とは、退院先のうち、同一の保険医療機関の当該入院料に係る病棟以外の病棟へ転棟した場合、他の保険医療機関へ転院した場合及び介護老人保健施設に入所した場合を除いたものをいう。当該保険医療機関に1年以上入院していた患者のうち、当該病棟から自宅等に退院した患者の数の1か月当たりの平均(届出の前月までの3か月間におけ
る平均)÷当該病棟の届出病床数×100(%)

(15)算定開始以降、各月末時点で、以下の式で算出される数値が2.4%以上であること。当該保険医療機関に1年以上入院していた患者のうち、算定開始以降に当該病棟から自宅等に退院した患者数の1か月当たりの平均(地域移行機能強化病棟入院料を算定した全期間における平均)÷当該病棟の届出病床数×100(%)

(16)算定開始以降、1年ごとに1回以上、当該保険医療機関全体の精神病床について、当該保険医療機関の所在する都道府県に許可病床数変更の許可申請を行っていること。算定開始月の翌年以降の同じ月における許可病床数は、以下の式で算出される数値以下であること。届出前月末日時点での精神病床の許可病床数-(当該病棟の届出病床数の30%×当該病棟の算定年数)

(17)地域移行機能強化病棟入院料に係る届出を取り下げる際には、許可病床数が以下の式で算出される数値以下であること。届出前月末日時点での精神病床の許可病床数-(当該病棟の届出病床数の30%×当該病棟の算定月数÷12)

(18)地域移行機能強化病棟入院料に係る届出を取り下げた後、再度地域移行機能強化病棟入院料を届け出る場合には、今回届出前月末日時点での精神病床の許可病床数が、直近の届出を取り下げた時点の精神病床の許可病床数以下であること。

  

精神病棟における質の高い医療の評価 / 精神科急性期医師配置加算の見直し

 

 

⑤ 精神科急性期医師配置加算の見直し
第1 基本的な考え方
精神科急性期治療病棟入院料における精神科急性期医師配置加算について、実績に係る要件を見直す。

第2 具体的な内容
精神科急性期治療病棟入院料1における精神科急性期医師配置加算について、現行の要件である新規入院患者の自宅等への移行率に加えて、クロザピンを新規に導入した患者数の実績によって、3つの類型に分けて評価する。

【精神科急性期医師配置加算】
精神科急性期医師配置加算(1日につき)
1 精神科急性期医師配置加算1
600点
2 精神科急性期医師配置加算2
イ 精神病棟入院基本料等の場合
500点
ロ 精神科急性期治療病棟入院料の場合
500点
3 精神科急性期医師配置加算3
450点

 

精神科救急入院料の見直し

 

⑧ 精神科救急入院料の見直し
第1 基本的な考え方
地域における精神科救急の役割等を踏まえ、精神科救急入院料について、複数の病棟を届け出る場合に、病棟ごとに満たすべき要件を明確化する。また、届出病床数の上限を超えて病床を有する場合について、経過措置の期限を定める。
第2 具体的な内容
1.精神科救急入院料について、複数の病棟を届け出る保険医療機関においては、病棟ごとに基準を満たす必要がある旨を明確化する。

 

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