|
|
症状精神病について |
身体疾患の経過中に出現する精神障害のことを「症状精神病」と言います。簡単に「からだのことが原因で精神症状が出てくる病気」という理解でいいと思います。luluの専門外の領域なので、本に書いてあることをまとめているだけの内容です。 |
[脳器質疾患] 症状精神病の中でも「脳」の病変に基づく慢性の精神障害は「器質精神病」と呼ばれ、一般の症状精神病とは区別されています。 原因となるものは、炎症性疾患(神経梅毒、髄膜炎、脳炎など)、変性疾患、脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷などがあります。器質精神病にあらわれる症状は、急性期では意識障害や通過症状群が見られ、慢性期には痴呆や人格変化が見られるようになります。 [尿毒症] 初期には、疲れやすい、だるい、眠れない、不安、抑うつなどの症状が見られ、進行すると嗜眠、昏睡に至ることもあります。また、透析中や透析後に脱力感、頭痛、不安、せん妄(意識がぼやーっとなって、幻視、幻聴体験が起こる状態)、錯乱を起こすこともあるようです。透析を長い間くり返すことによって、脳に器質的な変化が生じ、知能低下や人格変化といった症状が出るようなこともあります。 [肝疾患] 進行に従って、抑うつ、多幸、抑制欠如が見られるようになります。さらに重症になると、せん妄やもうろう状態になることもあります。 [糖尿病] 不安、抑うつ、心気状態になります。インシュリン過剰投与による低血糖状態においては、傾眠、せん妄、もうろう状態から昏睡に至る可能性があるようです。 [膠原病] 膠原病の中でも「全身性エリテマトーデス」は精神症状を起こしやすい病気です。意識障害、抑うつ状態、軽躁状態、幻覚妄想状態、不安状態、錯乱状態など多彩な症状を呈するようです。 [血液疾患] 悪性貧血では、抑うつ、神経衰弱状態、傾眠、分裂病類似の症状が見られることがあります。白血病では、脳出血や白血球細浸潤などによるせん妄や幻覚妄想状態が見られます。また再生不良性貧血でもせん妄が見られることがあります。 [心疾患] 直接生命にかかわる疾患のため、不安や恐怖、抑うつ状態になりやすいようです。心不全時には、記銘力低下、不眠、せん妄想などが認められたりします。 [肺疾患] 慢性の呼吸不全時に精神症状が出現しやすく、不機嫌、傾眠、軽躁状態になるようです。進行すると昏迷、せん妄、昏睡状態になります。 [ビタミン欠乏症] ビタミンB群、特にニコチン酸が欠乏することにより多彩な精神症状が見られるようです。初期には、不眠、易疲労性、易刺激性などの神経衰弱症状から、抑うつ状態、不安状態を経て、アメンチア、せん妄、幻覚妄想状態になります。 [感染症] 肺炎では有熱時にせん妄状態が見られることがあるようです。また、結核は重症化するとせん妄や健忘症状が出現することがあります。リウマチ熱では、小児でせん妄、感情異変、傾眠などが見られたりします。 [内分泌疾患] 甲状腺機能亢進症では、躁状態、易刺激性、不安などが見られます。副甲状腺機能低下症では、易刺激性、易疲労性、気分変容が見られ、ヒステリーと間違えられることもあるようです。 また、副甲状腺機能亢進症では、抑うつ、自発性低下が多いが、ときにせん妄や健忘症状が出ることもあります。副腎の疾患であるクッシング症候群は、抑うつ状態や不安になりやすいようです。 [妊娠、産褥期] 妊娠は、基本的に精神障害の発現に抑止的に働くとされていますが、感情障害や活動の亢進または低下、食欲の異常など、気分や欲求に関する変化が見られることがあります。 重度の精神障害は、妊娠初期3ヶ月ないしは末期の3ヶ月に多いようです。初期には神経衰弱状態や興奮状態が多く、末期は抑うつ症状や神経症様状態が多いようです。 産褥期においては、産婦の1%〜2%にかけて精神障害が見られることがあるようです。抑うつ、神経症状態、錯乱、せん妄、アメンチアなどが起こりやすいとされています。 |
Copyright(C) 1999-, lulu, All rights reserved.
|