パニック障害について、その症状や疫学について説明します。lulu-web過去ログから

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本記事はlulu-web過去ログをリライトしたものです。元の原稿は1999年に作成したので内容的に古い記述も見られます。時代背景も大切な資料ですので、ほぼそのまま掲載しています。

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パニック障害とは?

パニック障害というのは、急に激しい不安感に襲われ、心臓がドキドキし、息苦しくなったり、手先が痺れたりする「パニック発作」の症状を中心とした病気です。

一回発作を体験すると、「発作でいつか死んでしまうのではないか?」「また発作になるのではないか?」といったことが心配になり、社会生活に支障が出てくることもあります。

これまでは急性の不安発作として、不安神経症の一部として扱われていましたが、最近ではパニック障害/パニック・ディソーダーというDSM-4に基づく分類で説明されることが多くなっています。

この病気は急に起こるためにびっくりして、救急車で運ばれるのですが「検査しても内科的には問題ないから・・・」と言われたり、自律神経失調症、心臓神経症などの診断を受けたりと、医療の側にも十分に理解されていないところがあります。

パニック障害に特徴的な症状

自律神経の症状

心臓がドキドキする
冷や汗が出る
手や体が震える
口が渇く

身体の症状

息切れがする
窒息しそうな苦しさがある
胸が痛かったり、不快感がある
吐き気がする
顔がのぼせたり、真っ青になる
身体がしびれたり、うずうずしたりする

精神的な症状

発狂してしまうのではないか、と怖くなる
めまい、頭がふらふらして失神しそうになる
自分が自分ではない感じ、霞がかかった感じ
死んでしまうかもしれないという恐怖

パニック障害の疫学

パニック発作自体は珍しいものではなく、人口の20%~30%程度の人が日常に体験しており、多くの人が治療を必要とせずに回復します。最終的にパニック障害として診断されるのは、人口の0.5%~2.5%くらいではないかと言われています。特に、女性の罹患率が高く、男性の2~3倍になります。

発作は不意に始まり、10分くらいで最もひどい状態に陥ります。ただ、これがずっと続くようなことは稀であり、ほとんどの場合30分ほど経つと発作はおさまります

原因は脳の神経伝達物質の分泌異常という説が一般的な考え方ですが、発作のコントロールに関しては心の要素も大きいと考えられます。

治療方法としては、薬物療法と心理療法を併用するのが最もよい方法だと思います。薬物療法は、ペンゾジアゼピン系の抗不安薬(コンスタン、ソラナックス、セルシン、ワイパックスなど)、もしくは三環系の抗うつ薬(トフラニール、アナフラニールなど)、SSRI(ルボックス、デプロメール、パキシルなど)が使用されます。

パニック障害のカウンセリング

心理療法では、パニック障害の正しい知識を得ることを第一とします。絶対死んでしまうことはなく、発作も30分ほどで必ずおさまることを理解してもらうようにします。

またパニック発作のコントロールに関しては、認知療法的なアプローチが効果的ですし、抱えているストレスを解消する方法を探っていくことにも大きな意味があります。この辺りは不安神経症、恐怖症などの心理療法と共通するものがあります。

パニック障害関係の書籍

パニック障害については、かなり多くの書籍が出ています。どれも基本的なところは押さえていると思うので、何か一冊読めば知識は十分得られると思います。

有名所としては貝谷先生の「こころのクスリBOOKS よくわかるパニック症・広場恐怖症・PTSD」や「パニック障害なんてこわくない」がよさそうです。

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