発達障害児の幼児期に身につけたい社会性 公認心理師が解説7

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自閉症スペクトラム障害と愛着行動

 

毎日の生活を楽しく過ごしていくためには、一緒に暮らす親子の関係が安定していることが大事です。人と人が関わるちょっとした体験がその礎となります。愛着をきちんと形成していくことがポイントになります。

 

愛着とは子どもが特定の他者に対して持つ情愛的な絆のことを言います。 不安などを感じたときに愛着者がいることでそれを落ち着かせることができます。そして、愛着がしっかりと形成されると愛着者がそこにいなくても、それをイメージすることで自身の気持ちをコントロールすることができるのです。これは今後の人生においても重要となる一歩です。

 

自閉症スペクトラム障害(ASD)を持った子どもは、視線が合わなかったり、関わりを持とうとしないのでこうした愛着の形成が遅いと言われています。しかし、愛着が形成できないというわけではないことを忘れないようにしましょう。他の子どもより愛着行動は遅いかもしれませんが、その大切さは変わりません。少し大きくなってからベタベタしてくるからといって、それを拒否せずに受け入れていくことも必要でしょう。

 

困り感を表現できるように

 

発達障害を持つ子どもには、問題を起こしてまわりが必死で関わるようなタイプ受け身で大人しいタイプがいます。育てやすい、何も言ってこない=困っていないというわけではありません。むしろ、困っていることを上手に表現できないことが二次的な問題へとつながることがあります。 

 

例えば、発達障害の子どもたちは、涙が出たとしてもそれが悲しいとか辛いということとつながらなかったり、イライラして暴力的な行動に出たとしてもその訳を上手に見つけることができなかったりします。自分に起こっている感情の変化と身体の状況を上手に結びつけることができないのです。

 

自分にマイナスな何かが起こっているときは養育者や先生、まわりの大人などに「困ったよ-」と言えることが大切です。内容は後からでも構いません。ヘルプを求めるような仕草があれば、それを受け止めて「それでいいんだよ」というメッセージを伝えたいですね。助けを求めてくれれば、まわりも対処できることが増えますから。

 

集団で過ごすこと

 

集団の中でまわりの子どもたちと同じように過ごすことは、発達障害を持つ子どもにとって試練と言えます。一人遊びが許されるのであればよいのですが、どうしてもまわりと同じペースで過ごすことを強いられる場面があります。保育者、教育者とタッグを組んで少しずつ慣れていくことが必要となります。

 

慣れない場所、人、行程などは誰しもが負担に感じるものです。社会性の発達に遅れがある子どもにとっては、その負担はとんでもないものになることがあります。自閉症スペクトラム障害のように一緒にやることにつまづきがある場合は、少しでも興味が持つものから参加したり、とりあえず同じ場所にいるという段階から進めていくといいでしょう。多動や衝動性を持った子どもには参加を短時間で区切るなどの工夫がいいかもしれません。

 

集団での生活は将来、必要となる力のひとつです。障害があるから、特性があるからといって、何でもOKにしてしまうと集団生活へのハードルが高くなってしまいます。幼児期から、少しずつ積み重ねることが後の糧となります。

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