解離性障害  



++ 解離とは? ++


テレビや小説に熱中していて、声をかけられても全く気づかない。高速道路を運転していて知らぬ間に目的地についてしまう。授業がつまらないのでぼーっと空想にふけってしまい、名前を呼ばれてもすぐには気づかない……そんな体験をしたことはありませんか?

このような体験は、軽度の「解離 dissociation」が起きていると言えます。しかし、解離というしくみ自体は、すべての人にそなわっている正常な 「こころ」の働きです。

特に多感な思春期には、解離を体験することが多くなると言われています。また、子ども時代に空想の友達を作ったりするのも解離のしくみと大きく関わっています。

教科書的な定義では、解離とは「こころ」に大きな負担がかかることによって、意識、記憶、アンデンティティ(同一性)、知覚の統合が失われるような状態のことを指します。

軽いレベルの解離では、自分の感情がなくなったような気がしたり、生きている現実感がなくなるような体験が生じます。

症状が重くなると自分の体験したことをきちんと覚えていられなくなったり、自分がちゃんと自分の身体をコントロールしているんだという感覚がもてなかったり、自分が体験した出来事、感情が自分のもののように思えなくなったりします。

統合が失われるとき、どうでもいいような些細な体験が抜け落ちているのではなく、普通だったら絶対忘れないような出来事が抜け落ちることが特徴的です。



++ 解離性障害とは? ++


解離性障害というのは、受け入れることのできない強いストレスや心的外傷体験などが原因で、解離のしくみ(意識、記憶、アンデンティティ、知覚の統合の失敗)が極端に働いてしまう病気のことを指します。

解離性障害のカテゴリーには、解離性健忘、解離性遁走、解離性同一性障害、離人症性障害、特定不能の解離性障害の5つがあり、PSTDや境界性人格障害との強い関連が指摘されています。

子どもは解離する能力、被暗示性に長けています。それゆえ、幼少児に外傷体験を受けると「こころ」が解離のしくみを働かせることが多く、それが後々まで発展して解離性の障害の病因となることがあります。

アイデンティティが確立された成人になるにつれて、外傷体験への耐性は強くなっていきます。また、逆に2〜3歳以前に生じた外傷は、体験を意味のあるものとして保持できないために、解離傾向との関連は薄くなるようです。

解離性障害というのは、基本的には「こころ」の問題によって起ります。しかし、注意しなければいけないのは、「こころ」の要因以外のことで解離状態が起こることがあるということです。

例えば、脳の器質的な要因によっても同じような状態が引き起こされることがあります。また記憶が飛んでしまう体験は、アルコールや薬物の乱用によるブラックアウトで類似の状態が引き起こされます。さらに頭部外傷や、側頭葉てんかんの患者にも解離−離人状態が起こることがあります。



++ 解離関係の書籍 ++


ちょっと専門的すぎますが、解離についてはパトナムの「解離―若年期における病理と治療」がかなり詳しく書かれています。

解離性同一性障害(DID)、多重人格(MPD)関連では、同じくパトナムの「多重人格性障害―その診断と治療」が抜群に詳しいです。

親書サイズで読みやすいのは和田秀樹「多重人格」でしょう。

その他には町沢静夫「わたしの中にいる他人たち―多重人格は本当に存在するのか」とか、安克昌先生が訳している「多重人格者の心の内側の世界―154人の当事者の手記」あたりも参考になるかもしれません。






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